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忘却

父のおさがりのメロンをいただきました。



病床で父は『メロンが食べたい、缶詰のパイナップルが食べたい、汁だけでも飲みたい』
と言っていたようです。

入院してからというもの、父は食事がほとんど取れず、栄養は点滴からのみでした。

母が主治医に汁だけでもなんとか、と頼み込んだようですが
誤飲が命取りになる、と断られたようです。

お棺の中には沢山のメロンとパイナップルを入れてあげました。


父が亡くなってすぐに供えられた、もう完熟しきったメロンを食べながら
こんなもの、いくらでも買うことはできたのに
最期の最期に、こんなものすら食べることが出来ずに逝ってしまうなんて・・・・。


涙が溢れそうになるのをこらえながら
姫には、お行儀が悪いから、といつも止めさせていたのですが
背を向けて、そっとお皿の上の汁まで飲み干しました。



父が亡くなって2週間と少し。

時々、フラッシュバックのように最期の時や入院していた時、
まだ元気だった頃のシーンが頭をよぎって、泣き崩れることがあります。

私は決して父親っ子ではなかったので、寂しい、悲しいという感情は無いのですが
特に娘たちと、もっとこうしてあげれていたら、などの後悔の念で
押し潰されそうに苦しくなります。

それでも、何も解らない娘たちと日々慌しく過ごし
お友達と約束して外へ出たり、話をしたり、気晴らしをしたり
そうやって過ごしていく中で、心の中に大きくあった喪失感が少しづつ
埋められていったような気がします。



何かの本で、『人間の最大の能力は忘れることである』というのを読んだことがあります。


嬉しいこと、楽しいこと、その感情は、ずっと記憶に残っていても大丈夫なんです。

でも、悲しいことは辛いことは、忘れてしまわないとその感情に
押し潰されて、前に進むことが出来ないのです。

私も、父を亡くした喪失感を、後悔の念を、その感情を少しづつ
忘れていってるんだな、と思います。

悲しい事はいつでも、時間が解決してくれます。
心の傷も必ず、時間が癒してくれます。

私一人がどんなに悲しくても、辛くても、朝はやってくるし、日常もやってくる。
娘達は私を必要としているし、、私も一緒に前に進まなくてはいけない。
by emily0805 | 2012-03-09 17:02 | Family
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